2015年07月05日

訃報 冬弓舎内浦舎主が事故死

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NHK京都放送局のサイト記事「自転車の男性が用水路に転落」よれば、内浦氏は5日未明に用水路に転落して亡くなられたようです。享年45歳。冬弓舎の最高の仕事は、現代の人文書業界ではトップクラスの人気著作者である内田樹氏を「発見」したことでしょう。氏の最初の一般向け著作「ためらいの倫理学」は2001年の刊行ですが、その出版の経緯については、2003年刊の角川文庫版のあとがきにて、内田樹氏が謝辞とともに詳しく記されています。ちなみに角川はこのような他社が企画した本を文庫化する際には、2%だったかを元版の版元に支払ってくれるそうです。
小生が内浦氏と個人的に親しくなったのは、2001年7月刊の今野裕一著「ペヨトル興亡史―ボクが出版をやめたわけ」 に寄稿を求められたからで、何度か酒席をともにしましたが、彼の酒の強さはすさまじきものでした。最初はペースをあわせて飲んでいたのですが、こちらはつぶれそうなのに、あちらはまったく飲み足りなさそう、というわけで、彼の左手に芋焼酎のロックの大ジョッキを持たせ、右手のコップや猪口で相手をしてもらったりしてました。ほとんどつまみを食べないので両手がふさがっててもかまわないようでしたから…。 それはともかく、内浦氏はDTPやネット関係にも強いフリーの編集者として、請負仕事で稼いでおられるようでしたから、冬弓舎は赤字にさえならなければよかったのでしょう。いま検索するとこの15年間の刊行数は34冊ですが、ちかごろは神戸女学院大学関係の(たぶん)受託制作本がほとんどで、あまりうち向きの本はありませんでした。以前は、「ペヨトル興亡史」や内田樹本のほか、甲野善紀本などうちの店でもそこそこ売れる本もあったのですが。
現在、出版業界はいつ大崩壊しても不思議のない末期的な情況ですが、この冬弓舎のように自宅で一人でやっていて、しかも生活費は外で稼いでいるというような出版社は、おそらく大崩壊の際には一番耐久力があるのではないでしょうか。まだ、ほんとうに若かったので大崩壊後にはむしろ活躍の場が広がったかもしれません。まことに残念なことでした。

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2015年06月23日

「アスタルテ書房」の閉店セール

KkeYA1cw_400x400.jpg 「アスタルテ書房」のTwitterより

朝日新聞でも大きく紹介されましたが、「アスタルテ書房」のご遺族が閉店セールを開始されました。突然はじまった同店のTwitterによれば、「アスタルテ書房閉店に伴い、蔵書を半額で購入頂けます」とのことで、期間は明記されていませんが、「14:30〜20:00(木曜定休)」となっていますから、しばらくは営業されるのでしょう。販売されるのは本だけなのか、手紙や原稿などの肉筆物、あるいは置物や額物や本棚や机等も売り払われるのかは不明です。

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2015年06月17日

訃報 「アスタルテ書房」店主・佐々木氏ご逝去

エディション・イレーヌ松本氏から連絡をいただきましたが、アスタルテ書房店主の佐々木一彌氏は、6月15日未明に入院先の病院でお亡くなりになったとのことです。享年61歳。お葬式等はすでにご家族のみで済まされたとのこと。アスタルテ書房については、ご子息には引き継がれる意思がまったくないそうなので、このまま閉店となるのでしょう。在庫品は古本組合の市で処分されることになりそうで、閉店セールの予定もいまのところないようです。

京都新聞6月19日付記事 
佐々木一彌さん死去 「アスタルテ書房」経営”

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2015年06月05日

「海鳴り」の27号が届きました

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編集工房ノアが年に1回発行しているPR誌「海鳴り」の27号が届きました。目次は表紙の画像をクリックして拡大すると読めるはずです、山田稔氏の「形見分け」の形見とは、中野重治の原稿用紙のことで、もらったのは昨年末に亡くなった松尾尊允氏。その内の1冊をさらに三輪正道氏がもらい受け、さらにそこから6枚が山田氏の手元にあるそうです。とりあえず松尾氏の「中野重治訪問記」を読みたくなりますが版元品切れです。どこかで文庫になるとよいのですが。先日亡くなった杉本秀太郎氏の「夏の終わり(詩)」は遺作かと思いましたが、残念ながら昨年出た「駝鳥の卵」からの再録でした。
例によって表紙裏にノアの2014/5〜2014/6の刊行書一覧が掲載されていますが、未完を含めて合計29冊は、昨年より3冊多いようです。注目すべきなのは、山田稔氏の新刊らしき「天野さんの傘」という書名が末尾に載っていることですが、はたして6月中に出るのかどうか、今日現在は何も知らされておりません。

「海鳴り 27」は、例年通り地べたの店またはネットにて、ノアの本及び関係ありそうな本を買っていただいた方に、「おまけ」として進呈しています。まことに申し訳ございませんが、「非売品」につきこれのみの通販はいたしかねますのでご了承ください。たくさんいただいていますから、例年同様のペースですと、およそ年末までは十分配布できるでしょう。なお、バックナンバーは全号残部なしです。

編集工房ノアの本の通販は、三月書房のサイトの「編集工房ノアの本の在庫」のページからどうぞ。

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2015年06月04日

サワダオサム「独断的上林暁論」

「他店では(いまのところ)絶対見かけない本」入荷案内

サワダオサム「独断的上林暁論」

サワダオサム「独断的上林暁論」
  四六判並装/284頁 定価1800円+税 壁書房
*目次
   序章  旅立ち−初期の習作について
   第一章 衣食を貪ることなかれ−心豊かに生きた日々
   第二章 凍てついた日々−戦時下を生きる
   第三章 病妻物語の裏側−妻はなぜ精神を病んだか
   第四章 酔っぱらい小説の背景−酒と女と売文
   第五章 私小説でない私小説−私小説からの脱出を試みて
   第六章 上林暁との対話−歴史・対話・言葉
   第七章 左手の上林暁−病床での十八年
   第八章 文学の鬼としての上林暁−さまざまな上林暁論
   別章  兄といもうと−上林文学と妹睦子
   あとがきに代えて

2008年刊行の「わが上林暁〜上林暁との対話〜」に続くサワダ氏2冊目の上林論が入荷しました。あとがきによれば「上林暁の一部分を取り上げて、私小説のカテゴリーに押し込んでいる現状に私なりにノーを突きつけたつもりです」とのことです。なお、いまのところこの本は三月書房でしか販売していないようです。

○その他現在入手可能なサワダ氏の著書
  「わが上林暁〜上林暁との対話〜
  「初期作品集」
  「けつまずいてもころんでも−新聞販売労働運動史ノート」
  「新聞の底辺から抗議の声を上げた−京都新聞藤ノ森販売所と池内淑子の闘い」
  「底辺から新聞を撃つ−小説・毎日新聞不正経理事件
これらの本の通販は三月書房のサイトの“他店ではあまりみかけない本”の頁からどうぞ。

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2015年05月21日

「脈84号」特集 中尾務の島尾敏雄・富士正晴

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比嘉加津夫・編集「脈 84号 特集 中尾務の島尾敏雄・富士正晴」
  2015.05.20発行 A5判/148頁 定価1000円+税 脈発行所

*目次
   特集 中尾務   島尾敏雄 富士正晴 
       比嘉加津夫 島尾敏雄と島尾ミホ
   俳句 仲本彩泉   地誌の迷宮(2)    
   短歌 松島 浄   琉球松 
   詩  高木 護   詩のようなもの  
   小説 伊良波盛男  魂の蘇生 
      謝野洋子   揺れる島 その一  
   論考 安里昌夫   日々の断章(5)   
      松岡祥男   吉本隆明さんのこと(5) 
      青柳瑞穂   怠けて生きたい私たち(4)―多田道太郎の「怠惰の思想」―
      崎原恒新   沖縄地方文学史(13)
   対談 樹乃タルオ×比嘉加津夫 古井由吉の小説
   編集後記 

表紙の富士正晴の喫煙写真がとてもけっこうですが、これは昭和53年(64歳)に産経新聞社が撮影したものだそうです。「myaku」(※「脈」の姉妹誌)15号は「特集・島尾敏雄と写真」でグラビアが14頁あり、富士正晴記念館提供の写真も掲載されていましたが、今号には残念ながらグラビア頁はありません。
中尾務氏の「島尾敏雄、富士正晴 1947-1950」は、故・松本八郎氏編集の「サンパン」7号から14号(終刊号)に連載された「島尾敏雄、富士正晴」に加筆・修正をされたもので2段組53頁分。比嘉加津夫氏の「島尾敏雄と島尾ミホ」は副題が“島尾ミホへのインタビュー記”で、1987年3月に行われたインタビューも再録されています(※初出は「脈」30号)。
次号の特集は谷川健一の予定だそうです。

脈発行所の本の通販は三月書房のサイトの「脈発行所の本」のページからメールでどうぞ。「脈」と「myaku」のバックナンバーも少しあります。

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2015年04月30日

「ぽかん5号」

pokan5.jpeg 「ぽかん5号」税込価972円 ぽかん編集室

「ぽかん5号」が入荷しました。「4号」は附録が3冊でしたが「5号」は「3号」と同じ2冊に戻りました。
………「ぽかん」5号目次………………………………………
黄のはなのさきていたるを    服部滋
とけていく記憶
  佐久間文子
テレビ出演転末記    山田稔
友だちと文庫本にまつわる話    保田大介
父のチェーホフ(二)1928年、湯浅芳子    扉野良人
鳥の糞    岩阪恵子
多喜さん漫筆(五)― 学校での談義から   外村彰
めぐりあいと再会    秋葉直哉
千代田区猿楽町1-2-4(其の二)  内堀弘

付録
「ぼくの百」 中野もえぎ

付録
「のんしゃらん通信」vol.3
 フリーダの根、ベロニカの花 佐藤和美
 お月様はいなかった 福田和美
 磯野波平さんと同い年になりました… 森元暢之
 ぐらぐらと椅子がゆれるので直してと花がポストに
100 万円文学館  帆布次七
 旅ぎらいの旅   佐藤靖
 あんしんしてくらすこと 郷田貴
………………………………………………………………………………
山田稔氏のテレビ出演は1980年6月、NHK教育テレビの「幻の女性作家〜尾崎翠」で8頁分。
バックナンバーは1号以外は在庫があります。2号(2011年11月)は価1000円、この号には附録はついてません。3号(2013年11月)は価900円。4号(2014年5月)は972円、別冊(2013年12月)は定価700円。通販送料は1冊でも5冊でも100円です。お申し込みは三月書房のサイトの「他店ではあまり見かけない本」のページからメールでお申し込みください。

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2015年03月31日

藤宮史木版漫画 「蜘蛛の糸」、「貸本マンガ史研究 第2期2号」

「他店ではあまり見かけない本」入荷案内

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ほぼ三年ぶりに黒猫堂から藤宮史氏の新刊が入荷しました。木版漫画「蜘蛛の糸」(芥川龍之介・原作/B5判20頁)、2015年版「木版漫画集 或る押入れ頭男の話」[CD-R]、そして昨年末に出ていた藤宮史詩集「青い空」の3点です。「蜘蛛の糸」は頒価650円の普通版のみ仕入れました。オリジナル木版画1枚附きの限定版は黒猫堂のサイトで直接お求めください。
2015年版「木版漫画集 或る押入れ頭男の話」[CD-R]は2012年に出ていたのの増補完結版で、109頁分が140頁分に増量されましたが、価格は据え置きの1000円+税です。
藤宮史詩集「青い空」(限定100部/オリジナル版画1枚貼付/B5判26頁)は頒価1600円(税込)。こちらの本文は字ばかりのようで、木版ではなくリソグラフ印刷です。限定の木版画は数種類ありますので、図柄にご希望があればお問い合わせください。
藤宮史氏の黒猫堂本は5年ほど前から扱ってますが、「アックス」の2012年の特集号を見るまでは、何となく女性だと思ってました。史とか薫とか玲とか雅美・清美とかは注意しないとよく間違えます。故三木のり平の本名が則子(ただし)というのは難しすぎますが。

kasihonmanga2.2.jpeg 「貸本マンガ史研究 第2期2号」

「貸本マンガ史研究 第2期2号(通巻24号)」が入荷しました。特集はなくて、連載記事のほかヒモトタロウさんと石川フミヤスさんの追悼記事がなどが掲載されています。詳しい内容については貸本マンガ史研究会のサイトでお確かめください。このサイトによると、この雑誌を地べたで販売しているのはタコシェ、まんだらけ、もっきりやと三月書房の4店のようです。正直なところうちの店では初期の号に比べると、最近はあまり売れてはおりません。他店でたくさん売れているとよいのですが。

今回紹介した本の通販は三月書房のサイトの「他店ではあまり見かけない本」のページからメールでお申し込みください。

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2015年03月26日

本日入荷!グレゴリ青山『京都「トカイナカ」暮らし』

tokainaka.jpeg グレゴリ青山『京都「トカイナカ」暮らし

1月に出た「スケオタデイズ」は発売1ヶ月で、グレゴリ史上最速の第3刷とたいへんよく売れているようですが、うちの店ではグレゴリ本としては並か並以下の売れ行きです。もとからのファンの多くはフィギュア・スケートにはあまり興味がないようです。この「トカイナカ」にはありがたいことにスケートは一コマも出てこないので、うちの店ではきっとよく売れるでしょう。第1部が“田舎からトカイナカへ”、第2部が“エンジョイ都会編”、第3部が“エンジョイ田舎編”となっていて、第2部には三月書房と小生が実名でデカデカと出てくる「京都個性派書店案内」も収録されています。他に小生らしき人物が出てくる短編が2編収録されていて、これでグレゴリ漫画のザコキャラとしては通算7〜8回目の登場です。表紙には三月書房の外観イラストも載っていますから、上記の書影を拡大してお確かめください。
「トカイナカ」という言葉はわりと最近にできた言葉のようですが、あまり広まっていないようで、検索しても「理想のトカイナカ?大阪の果て和泉市」とか「とかいなかやいたでスローライフ - 栃木県矢板市公式ウェブサイト」とか、ぬる〜い町起こしのようなのがちらほら見つかる程度です。書名で検索すると過去に2冊出ているだけのようで、ほとんどライバルは見あたりません。もしも「トカイナカ」本大賞があったら、グレゴリさんのこの本が受賞することは確実でしょう。

※三月書房のサイトの「グレゴリ青山の本」のページ
グレゴリ青山 on Twitter

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2015年03月21日

「アスタルテ書房」の再開と元「ガケ書房」の特集号

エディション・イレーヌ氏からの連絡によりますと、「アスタルテの佐々木さんが昨日、退院されました。改善には程遠い状況での退院です。来週から店を開けられるでしょう。」とのことです。あまり体調がよろしくないようなので、臨時休業も少なくないかもしれませんが、いつまた長期休業になるかもしれないので、行けるときに行ってみてください。ご本人はたぶん、花見がしたくて退院されたのではと思われますが、これはあくまでも推測です。

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書影はしろべえ書房発行の地域系コミック雑誌「おかもちろう」第4号“特集・ガケ書房移転・改名”です。この雑誌はうちの店では扱ったことがありませんが、A5判で236頁もあるのに定価がわずか500円+税と安いのがとてもけっこうです。ガケ書房店主の山下氏のインタビューが載ってますが、ある新聞社から電話がかかってきて、「閉店ですか?移転ですが?閉店だったら記事にできるんですけど」と聞かれたとのこと。新聞というのはそういうもので、昨秋のアスタルテ書房の生田耕作忌のときも、「閉店だったらすぐに記事にできるけれど、休業と再開を繰り返しているだけではなかなかむつかしい」と取材記者の人が言ってました。これはがんばってなんとか記事にしてくださいましたが。
「書店からガケ書房へのメッセージ」というコーナーがあり、三月書房も頼まれたので、「“ガケ書房”から、あのインパクトのある店名と、あのつかみ抜群の外観を除いたら、いったい何が残るのか?」、このあとに「残るのは売れ残りの山ばかりかも」と続けたかったのですが、知らない雑誌なので遠慮して、無難にまとめておきました。ほかに萩書房、はんのき、善行堂、レティシア書房ほかのメッセージも載ってますが、みなさんおくゆかしいようで、さほど面白くはないような。「おかもちろう」の販売店等はしろうべえ書房のサイトにてご確認ください。

posted by 三月山 at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都の書店のうわさ 番外編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする