2020年08月24日

トロンプ・ルイユ三月書房

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三月書房のシャッターにだまし絵(トロンプ・ルイユ)を貼りました。両側が数年前の写真を加工したもので、真ん中の戸2枚と自転車は実物です。ちょっと離れて見ると営業中のように見えなくもないけれど、近くに寄ってみると中には入れないという趣向です。
 ご承知の通り、地べたの店は6月に閉店しましたが、シャッターを閉めたままだと景色が悪いし、シャッターそのものも薄汚れてかなり見苦しくなっていました。建物自体が昭和戦前の木造古家なので、いずれは改装、改築、新築、売却等なんらかの手を打つ必要があるのですが、それは 数年以上先のことになりそうなので、一時しのぎとして、何か絵でも描いてもらおうかと考えていました。さしあたっては近所の美術工芸高校と少し交流があるので、生徒さんたちに頼めば安くあがるのではと思ったりもしていました。
絵柄は花鳥風月とか名所風景とかのありきたりのはいやなので、だまし絵で、ほんとは閉まってるのだけれど、営業しているように見える 本屋の絵を描いてもらったら面白いのではと思いつきました。その場合、以前の三月書房風、あるいはパリかロンドンあたりの古い本屋風で、リアルよりは幻ぽいのがよいのではと考えたりしていました。
  そこへ青山大学の福岡伸一教授から思いがけない提案が来ました。三月書房の看板をモノとして譲ってほしいとのこと。「動的書店」という書店を企画していて、そこのギャラリーに「ドリトル先生」の初版本、ダーウィンの原書などと一緒に展示したいとのこと。福岡センセは学生時代からのお客さんで、近年も雑誌のコラムなどで何度も三月書房のネタ記事を書いて宣伝してくださるごひいき様ですが、こんな物を所望されたのには驚きました。
  それで、看板を譲るのはかまわないけれど、トロンプ絵の計画があり、その場合は看板を残しておく必要があるので、不要になるまで数年待っ てほしいと返事しました。そしたら、「トロンプ・ルイユのアイデア、なかなか秀逸ですね。すばらしいと思います。予算がどれくらいかかるか、ちょっと見積もってみます。これを私どもファンで出します。」とのありがたいお申し出があり、あとはデジタル写真の入手から、デザインまで、あっという間に仕上げてくださいました。現場での貼り付け作業はこちらの町内の業者に依頼ました。こちらとしても全額負担していただくのは心苦しいので、もしも高校生に頼んだらこのぐらいだったかという程度の金額を負担しました。デザイン料がどの位かかったのかは聞いていませんが、京都でのプリント印刷と現場での貼り付け作業は十数万円でした。
  うちの商店街は今世紀に入ってからはなかなか好調で、レベルの高いお店が次々に開店し、シャッター商店街とはほど遠い状況でしたが、コロ ナ禍以降閉店が増えつつあります。コロナ恐慌はまだまだ収まりそうもないので、さらに閉店が増えるかもしれません。うちの店は2月の新聞 報道にもあったように、コロナとは無関係の閉店理由なのですが、世間ではコロナで潰れたと思ってる人たちも少なくないようです。そういう 誤解を解くためにも、先日の古本まつりや今回のだまし絵のような遊びをして、少しは“余裕”があるところを見せたほうがよいかもと思っています。

 
posted by 三月山 at 17:13| Comment(1) | 三月書房からのお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
シャッターのディスプレイ、いいですね。「廃業」でも商店街では「非営業中」の書店ととして存在し、店に馴染みある人の心をキュンとさせるモニュメントでもあるという。
Posted by 佐伯修 at 2020年08月25日 16:06
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