2013年12月16日

三木成夫の新刊「生命の形態学」

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三木成夫「生命の形態学〜地層・記憶・リズム」うぶすな書院

三木成夫待望の新刊が入荷と言いたかったのですが、今朝入荷した現物を見たら残念ながら再編本でした。全6章ですが、1989年刊の「生命形態の自然誌 (第1巻)」に全文、1992年刊の「生命形態学序説―根原形象とメタモルフォーゼ」に(1)〜(3)が収録済みです。したがって、この本で初めて読めるのは谷川俊太郎の「序文」と塚本庸夫の「あとがき 編集後記」だけですが、1冊にまとまったのでたいへん読みやすくなっていますし、A4判ハードカバーの上製本で定価2500円+税という価格も、専門書としてはかなり安価な印象があります。

三木成夫の本がうちの店で売れるようになったきっかけは、1990年代の初め頃に吉本隆明氏が三木成夫を“発見”されたからでした。当時の吉本氏の興奮ぶりはたいしたもので、いろんな機会に三木氏の著作に触れて絶賛されていました。「三木成夫の著書にであったのは、ここ数年のわたしにひとつの事件だった。(中略)。もっとはやくこの著者の仕事に出あっていたら、いまよりましな仕事ができていただろうに、そんなすべのない後悔をしてみることがある。」(『海・呼吸・古代形象』解説)。こんなふうに書かれれば、〈吉本〉本の読者としては読まないわけにはいかず、そのころわずかに数冊だけ出ていた著書が爆発的に売れました。とくに中公新書の「胎児の世界」は三木氏が生前に書き下された唯一の一般向け本で、内容的にも中公新書の歴代ベスト3には必ず入るであろう面白い本でしたので、一挙にファンが増えました。そんなさなかの1992年に刊行された『海・呼吸・古代形象』はうちの店では超々ロングセラーで、現在までに400冊ほど売れています。吉本氏の本は50冊ないし70冊程度でほぼ売れ止まるのがふつうですから、きっかけとなった吉本氏よりもはるかに幅の広い読者を獲得したといえるでしょう。それらはたとえば、ゲーテの自然科学からシュタイナーの人智学の読者に、野口三千三や村木弘昌の呼吸法や身体論から、古武術や能楽や舞踏方面の読者にというふうでした。ここ数年は目立った出版もなく、やや売れ行きも停滞気味でしたが、今春出た河出文庫の「内臓とこころ」が世間でもかなりよく売れたらしくて、今月には第2弾の「生命とリズム」が刊行されました。これも同じく売れたら、さらに何か出してくれるかもしれないので非常に楽しみです。

三木成夫の本は三月書房のサイトに新本で入手可能な本をたぶんすべて掲示しています。なぜか、Amazonでも売っていない、ゲーテと自然の科学の集い(※この会は三木成夫が設立に尽力)の機関誌「モルフォロギア」も、可能な限り揃えています(※16号は三木成夫の特集で、吉本隆明の講演も掲載)。それにしても残念だったのは、三木氏が1987年に63歳の若さで亡くなったことです。あと5年生きておられたら、吉本氏との対談本を読むことができたに違いありません。

posted by 三月山 at 09:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 「本」とか「雑誌」とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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