2013年03月05日

高木護リバイバル?

「高木護短編集 川蝉」「高木護短編集 川蝉」定価1900円+税 脈発行所

出版業界的にみれば、高木護氏の全盛期は1970年代から1980年代にかけてだったたと言えるでしょう。未来社などから著書を次々に刊行し、辻潤の著作の編纂に尽力され、いずれもうちの店ではそれなりによく売れました。しかし、今世紀に入ってからその名を目にすることも次第に減り、まことに失礼ながら生死のほどもよく知らないというような状態となっていました。それが突然、沖縄の脈出版社がわずか数ヶ月の間に、特集雑誌、研究書、詩集の復刊と立て続けに刊行され、それぞれがうちの店ではなかなかの売れ行きを示しています。とはいえ、地方小出版センター扱いの少部数出版物ですから、全国的にはまだまだ微々たるものでしょう。この「川蝉」は1974年に風書房が限定250部で刊行した「幻の短編集」の復刊です。元のは定価3000円で当時としてはちょっとした豪華本だったようです。なお、「幻の」というのはややオーバーで、「日本の古本屋」のサイト目録だと20000円前後で複数出品されていますが、簡単に買える価格でないことはたしかです。

 「Myaku 14号」   「詩人 高木護―浮浪の昭和精神史」

左側の雑誌は「Myaku14号(2012年11月) 特集・きみは、詩人 高木護を知っているか」で、定価900円+税、脈発行所刊。主な内容は、澤宮優・内田聖子 対談「今、高木護を語る」、西谷晋「孤高でも虫けらでもなく」、岩本勇「特異な詩人、そして特異な作曲家」、蓮川博凡「ことばの森の余白」、青柳瑞穂「青年詩人・高木護」、久保田一「高木護さんと出会ったこと」、仲西徹「高木護さんの『宝物』」、中尾務「歩くひと宮本常一が、歩くひと高木護を見いだした」、比嘉加津夫「詩人高木護・雑感」、高木護年譜(作成・青柳瑞穂)、高木護著書一覧。とくに年譜と著書一覧は資料としてたいへん貴重でしょう。
右側の本は、青柳瑞穂著「詩人 高木護――浮浪の昭和精神史」定価1600円+税 脈発行所。帯に「22歳の女子学生が卒業論文に高木護を取り上げた」とありますように、故・青柳瑞穂(男性。1899年-1971年。仏文学者、詩人、美術評論家、骨董品収集・随筆でも著名)とはもちろん同名異人(しかも性別違い)です。発行所の宣伝文によれば、「詩人高木護の著書『放浪の唄』をもとに、この論考をまとめました。しかも、『放浪の唄』をベースに、さらに九州まで足を伸ばして多くの資料を踏査し、高木護の全生涯に向かっていったのです。論考に迫真力、説得性があるのはそのためだといえるでしょう。いわば、この一冊で高木護という詩人の生涯が分る、といえるほど見事なもの」だそうです。蛇足ながら、上に載せたこの本の書影をクリックして拡大すると、帯の「22歳の女子学生」の笑顔が拝見できますのでごらんください。それにしても、脈発行所さんはこのあたり意外と商売上手なところがあるようで、ちょっとうれしくなります。
この3冊の力で高木護がリバイバルし、新著がでたり、旧著が復刊されたり、あるいは講談社文芸文庫に入ったりすれば面白いのですが。

速報!「Myaku 16号 特集・今再び、高木護」入荷しました。詳しくは三月書房のサイトでごらんください。(2013・05・19補記)

これらの本の通販は「他店ではではあまり見かけない本」の頁からどうぞ

posted by 三月山 at 12:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 「本」とか「雑誌」とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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