<天に唾する>京都の書店のうわさ 番外編05
最終日の昼前に行って2時間足らずざっと見てきましたが、古書価の低落傾向は止まるところを知らずという様相で、ちょっと暗い気分になりました。われわれ新本屋としても、まだ在庫を持っていて、これから定価で売るつもりの本が、ここまで下がっているのを見せられるとちょっと自信がなくなってきます。とくに文学全集類の値崩れはひどいもので、岩波の「日本古典文学大系」が1冊100円から200円、「白秋全集」や「鴎外全集」も1冊300円位で投げ売りされてましたが、それでもあまり売れそうな気配がありませんでした。「折口信夫全集」の旧版も1冊100円から200円ですが、まったく同じ内容の文庫版の古書価の方が高いのは、とにかく場所ふさぎな本が徹底的に嫌われているからのようです。最終日のため全品半額セールをしている店も多く、閉店間際にはさらに安くなりそうでした。均一台でも3冊100円という、いまだかって見たことのない最安値の店がありました。もちろん並んでる本は、数年前なら3冊500円位だったであろうレベルの本です。
ここらでわれわれも発想を転換して、本を大事にするのはやめにし、全集本でも単行本でも表紙をむしり取ってしまい、本文も適当な頁数ににちぎり分けて読むようにしたらどうでしょうか。文庫よりも字が大きいし軽いし、通勤電車でもベッドの中でも読みやすいでしょう。そして何よりもよいことは、二度と古書業界に戻って行かないので、これ以上の値崩れが防げるかもしれないということです。古書組合かどこかが、この方法をマニュアル化して、おしゃれな読書法として宣伝してみてはいかがでしょうか?