<天に唾する>京都の書店のうわさ 別冊017
この写真ではよくわからないかもしれませんが、この建物は築1年ちょっとのきわめて新しいものです。元は築何十年かの木造のお店でしたが、この新しい建物は以前のお店を復元されたかのような、いかにも古書店らしい趣があります。今風の店にしてしまうと、リサイクル・ブックの店と間違えられたりしてイヤだからかもしれません。この書店は特に何が専門ということはないようで、江戸期の和本や版画類から昭和末期の雑誌の附録にいたるまで、まことに雑多な古本が並んでいます。専門書店ではなく、さりとて単なる安売屋でもない、ちかごろでは珍しくなりつつあるタイプの古書店ですが、ちょっとした掘り出し物もよくあるようです。掘り出し物といっても、古書の相場がどうこうではなく、買った当人だけに値打ちがあるような、長年探していた本とか、出ていたことも知らなかった本とかがよく見つかるようです。うちの店に来る途中の「尚学堂」で見つけたという〈珍本〉を、お客さんに自慢されたことは何度もあります。
「彷書月刊」2004年8月号の「ブンブン堂のグレちゃん(グレゴリ青山)」第15回には、店名は伏せられていますが、この「尚学堂」さんらしき古本屋と、「三月書房」らしき新本屋が登場します。「尚学堂書店」の数店南にある喫茶店「Eight」が実名で出ていますから間違いありません。15年くらい前の店頭風景を参考に描かれたらしい、とても「面白い」漫画です。
(※「尚学堂書店」は寺町通二条下る東側にあります)