
「風狂のひと 辻潤;尺八と宇宙の音とダダの海」
高野澄・著 定価3800円+税 人文書館
この本の本文はまだぜんぜん読んでいませんが、口絵の肖像画がとてもステキでした。大杉栄を描いた「出獄の日のO氏」で有名な画家、林倭衛 (はやししずえ)による、「或る詩人の像(辻潤像)」です。辻潤の肖像といえば、よれよれの写真ばかり見慣れていたので、このダンディな絵姿にはちょっと別人のごとき印象があります。髪もちょび髭もよく整えられ、洒落た三つ揃いのスーツで椅子に座り、傍らにパイプを置いて読書している姿は、ひょっとしたらパリ滞在中のかもしれません。1932年(昭和7年)の春陽會第十回展覧會作品とありますが、辻がパリに居たのは1928年のことで、林も同じ頃フランスで暮らしていたようです。林倭衛は1945年に亡くなっていますからこの絵をスキャンして掲載しても著作権上はセーフかもしれませんが、本をつぶさないと無理なのでやめておきます。
「ダダイスト辻潤書画集」
定価970円+税 『虚無思想研究』編集員会発行・発売
この「書画集」の表紙の辻潤の肖像は息子の辻まことによるもので、「風狂のひと」の扉にも使用されています。またこの「書画集」にも、林倭衛による「或る詩人の肖像」が掲載されていますが、これは同じ日に描かれたとおぼしき別の絵です。辻の服装も読書姿も同じですが角度がまったく違います。こちらの絵はモノクロで収録されているためもあってか、「風狂のひと」の口絵よりやや出来が落ちるように見えますが断定はいたしません。
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