「他店ではあまり見かけない本」入荷案内
「竹久野生の絵」2010年3月27日発行/165×187mm/全58頁(カラー図版43頁) /
文・宇佐美英治、吉田加南子、竹久野生/定価2000円+税/ギャラリーゆめじ
竹久野生という人のことを知ったのは、1996年に「アンデスの風と石が運んだもの―竹久野生・画文集」という本が出たときでした。この本は、たいへんよく売れましたが、買われた方の大部分はその父の辻まことのファンだったような記憶があります。そして、父方の祖父母が辻潤と伊藤野枝、母の武林イヴォンヌの父母は、武林無想庵と宮田文子、しかも、幼少のころに竹久夢二の次男の養子になったために、義祖父の夢二に可愛がられて育ったという、なんとも濃い家族関係がちょっとした話題になりました。このあたりの人間関係は、1989年に刊行された山本夏彦の「無想庵物語」にも詳しいので、「アンデスの風…」を買われた人の多くは、先にこの本も読んでおられた可能性が高いでしょう。野生氏は父の思い出とか、家族の話とかなら、私小説であれエッセイであれ何冊でもすぐに書けるであろうネタを豊富に持っておられるに違いありませんが、今までのところはそのような趣味はお持ちでないような感じです。現在も、コロンビアで画家活動を続けつつ、毎年のように日本でも個展を開かれているようです。この「竹久野生の絵」はISBNも記入されていませんから、おそらく画廊関係でのみ個展の折りなどに販売されているのでしょう。この本の通販は三月書房のサイトの「『南天堂』関係者などの本の在庫」のページからどうぞ[レア度★★★]。
なお、2010年10月10日〜17日まで、京都の“Culture Garden 吉田の森”にて『竹久野生展』が開催される予定です。