<天に唾する>京都の書店のうわさ 遺跡編20
百万遍交差点から北西に数百メートルのあたりの住宅街にあった、児童書専門店の「きりん館」が昨年末に閉店していました。同店のサイトには今日現在、トップページに下記の告知が貼ってありますが、その他のページはすべて削除されているようです。
「きりん館は、京都にある児童書専門店です。2008年12月28日をもちまして閉店いたしました。これまでのご愛顧を心より感謝申し上げます」
「きりん館」は1970年代半ばのオープンでしたが、当時は児童書専門書店の開業が全国的に盛んでした。これは、「第2次ベビーブーム」の最中で、子供の人口が急増していたからだったのでしょう。しかし、その後急速に出生率が落ち、10年以上も前から児童書専門書店の経営は全国的に困難になりつつあるようでしたから、ここもついに維持できなくなられたのでしょう。児童書専門書店とういうスタイルには、ほとんど関心がないので、この店の見学に行ったことは一度もありませんが、京都ではこのジャンルを代表する書店との定評がありました。
しかし、児童書に限らず、いかなるジャンルであっても、新刊書店が専門書店化することはほぼ不可能であろうと思われます。現在も健在な各種の専門書店は、古書が主体で新刊も扱うというスタイルがほとんどです。そして可能ならば新古の輸入書も扱えばさらに専門化しうるでしょう。しかし、古書がほとんど流通していない児童書の場合はそれもほぼ不可能に違いありません。今後、児童書専門書店が残っていけるとしたら、他に収入源のある店しか難しいのではないでしょうか。